冷酒とは、冷蔵庫などで冷やして飲む日本酒のことです。
一方で「冷や」という言葉もありますが、これは常温の日本酒を指します。
楽しみ方もそれぞれで、冷酒を美味しく飲むための方法もあるのでぜひ試してみてください。
この記事では、冷酒と冷やの違いから、冷酒の美味しい飲み方、おすすめの温度帯まで詳しく解説します。

「冷や」と「冷酒」の違いとは?日本酒の温度によって変わる!
「冷や」と「冷酒」はどちらも冷たそうな名前ですが、実は全く違う温度帯の日本酒です。
この違いを知らないと、居酒屋で思わぬ温度の日本酒が出てきて驚くかもしれません。
「冷や」は常温で楽しむ日本酒
日本酒の「冷や」は、常温(15~20度程度)の日本酒を指す言葉です。
昔は燗酒(温めた日本酒)に対して、温めていない状態を「冷や」と呼んでいました。
冷蔵庫がない時代の名残で、今でもこの呼び方が使われています。
居酒屋で「冷やください」と注文すると常温の日本酒が出てくるので、冷たいお酒が飲みたいときは「冷酒」と伝えましょう。
呼び方 | 温度帯 | 特徴 |
---|---|---|
冷や | 15~20度(常温) | 米の旨味をしっかり感じられる |
冷酒 | 5~15度 | すっきりとした飲み口 |
燗酒 | 30~55度 | 香りが立ち、まろやかな味わい |
「冷酒」とは冷やして飲む日本酒
冷酒は、冷蔵庫や氷で5~15度程度に冷やした日本酒のことです。
キリッとした飲み口で、暑い季節には特に人気があります。
冷酒の魅力は、日本酒特有のアルコール感が抑えられること。初心者でも飲みやすく、料理の味を邪魔しません。
最近では、専用の冷酒グラスやワイングラスで提供する店も増えています。
見た目も涼しげで、食事の雰囲気を盛り上げてくれますよ。
吟醸酒ブームが冷酒人気の火付け役
1980年代後半から始まった吟醸酒ブームが、冷酒文化を一気に広めました。
吟醸酒は低温発酵で造られ、フルーティーな香りが特徴ですが、この香りを最大限に楽しむには冷やして飲むのが一番でした。
それまで日本酒といえば燗酒が主流でしたが、若い世代を中心に冷酒の人気が急上昇。
技術の進歩で、冷やしても美味しい日本酒が増えたことも大きな要因です。純米大吟醸や生酒など、冷酒向きの商品が続々と登場しています。
冷酒の美味しい飲み方と温度別の呼び方
冷酒といっても、温度によって呼び方が変わります。
それぞれの温度帯で日本酒の味わいが変化し、料理との相性も変わってきますよ。
涼冷え(すずひえ)
涼冷えは15度前後の、ほんのり冷たさを感じる温度帯です。
冷蔵庫から出して少し時間を置いた状態がこの温度。日本酒本来の香りと味わいのバランスが最も良い温度帯といわれています。
純米酒や本醸造酒など、米の旨味を楽しみたいお酒におすすめです。
花冷え(はなびえ)
花冷えは10度前後の、桜の咲く頃の冷たさを表現した呼び名です。
冷蔵庫でしっかり冷やした状態がこの温度帯。香りは控えめになりますが、キレのある爽やかな飲み口を楽しめます。
吟醸酒や大吟醸酒など、繊細な味わいのお酒に最適で食前酒としても人気があります。
暑い日には、この温度帯の冷酒がたまらなく美味しく感じられるでしょう。
雪冷え(ゆきびえ)
雪冷えは5度前後の、雪のようにキンキンに冷えた状態を指します。
シャープな飲み口で、暑い夏にぴったりです。
ただし、冷やしすぎると香りがほとんど感じられなくなるので注意が必要。
高級な大吟醸酒などは、この温度帯では本来の良さが発揮されません。
生酒やスパークリング日本酒など、爽快感を楽しむタイプのお酒に向いています。
冷酒を楽しめる日本酒の種類

日本酒の種類によって、冷やすことで美味しさが引き立つものとそうでないものがあります。
冷酒に適した日本酒を選ぶことで、より一層美味しく楽しめるでしょう。
生酒
生酒は火入れ(加熱処理)をしていない、フレッシュな日本酒です。
搾りたての新鮮な味わいが魅力で、冷やすことでその特徴が最大限に活きます。
フルーティーな香りと、ピチピチとした口当たりが楽しめますよ。
常温で放置すると味が劣化してしまうので、生酒は必ず冷蔵保存が必要です。。
夏限定の生酒も多く、季節感を楽しめるのも魅力の一つ。5~10度の花冷えから雪冷えで飲むのがおすすめです。

大吟醸酒・吟醸酒
大吟醸酒と吟醸酒は、米を50%以上削って造る、香り高い日本酒です。
低温でじっくり発酵させることで、メロンやリンゴのような華やかな香りが生まれます。
この香りを楽しむには、10~15度の涼冷えから花冷えがベストです。
ワイングラスで飲むと、香りがより一層引き立つので試してみてください。
本醸造酒
本醸造酒はすっきりとした味わいで、冷酒にも燗酒にも合う万能タイプです。
醸造アルコールを少量添加することで、軽快な飲み口に仕上がっています。
価格も手頃で、毎日の晩酌にぴったり。15度前後の涼冷えで飲むと、料理の味を邪魔せず楽しめるでしょう。
刺身や焼き魚など、さっぱりした和食との相性が抜群です。
冷酒をさらに楽しむには?
冷酒を単に飲むだけでなく、さらに楽しむには以下のことも試してみましょう。
- 冷酒と相性の良い料理・おつまみ
- 冷酒器をこだわって選ぶ
料理との組み合わせや、酒器選びにこだわることで、冷酒の魅力をさらに引き出せます。
冷酒と相性の良い料理・おつまみ
冷酒はさっぱりした料理や、素材の味を活かした料理と相性抜群です。
特に魚介類との組み合わせは最高。刺身、寿司、カルパッチョなど、生の魚介の繊細な味わいを引き立てます。
夏野菜を使った料理もおすすめです。冷やしトマト、きゅうりの浅漬け、枝豆など、シンプルな味付けのものがよく合います。
冷酒の種類 | おすすめ料理 | 相性の理由 |
---|---|---|
大吟醸酒 | 白身魚の刺身、フルーツ | 繊細な香りと味わいがマッチ |
生酒 | 生牡蠣、モッツァレラチーズ | フレッシュ感が共通 |
本醸造酒 | 焼き鳥(塩)、冷奴 | すっきりした味わいで料理を引き立てる |
意外なところでは、チーズとの相性も良好。特にフレッシュチーズやクリームチーズは、冷酒のキレの良さとよく合います。
冷酒器やグラスをこだわって選ぶ
酒器を変えるだけで、冷酒の香りや味わいが驚くほど変化します。
ガラス製の酒器は、見た目にも涼しげで冷酒にぴったり。薄い口当たりのものを選ぶと、繊細な味わいをダイレクトに感じられます。
最近人気なのがワイングラスで飲む方法。特に吟醸酒や大吟醸酒は、グラスの形状が香りを集めてくれるので、より華やかに楽しめるでしょう。
陶器の酒器なら、信楽焼や備前焼がおすすめ。土の温もりを感じながら、冷酒のひんやり感を楽しむのも風情があります。
酒器選びも冷酒の楽しみ方の一つ。お気に入りを見つけて、自分だけの冷酒タイムを演出してみてください。
よくある質問
冷酒について、よくいただく質問をまとめました。
冷酒の読み方を教えてください。
冷酒は「れいしゅ」と読みます。
「ひやざけ」と読む方もいますが、正式には「れいしゅ」が正しい読み方です。
冷酒に適したグラスや酒器はありますか?
ガラス製の薄い酒器やワイングラスがおすすめです。
特に吟醸酒や大吟醸酒は、ワイングラスで飲むと香りが立ち、より美味しく楽しめます。
冷酒を楽しむ適切な温度は何度ですか?
5~15度が冷酒の適温です。
日本酒の種類によって最適な温度は異なりますが、10度前後の花冷えが最もバランスが良いとされています。
冷酒と「ひや」の違いは何ですか?
冷酒は5~15度に冷やした日本酒、「ひや」は15~20度の常温の日本酒です。
「ひや」と注文すると常温の日本酒が出てくるので、冷たいお酒が飲みたいときは必ず「冷酒」と伝えましょう。
冷酒向きのおすすめ日本酒を教えてください。
生酒、大吟醸酒、吟醸酒、本醸造酒などがおすすめです。
特に夏季限定の生酒や、フルーティーな香りの吟醸酒は冷やして飲むと格別の美味しさです。